ロイヤルホストよ永遠に ~札幌市内のロイヤルホスト全店行ってみた~
先日とあるポッドキャストを聴いて、熱烈にロイヤルホストに行きたくなってしまった。
フードエッセイストの平野紗季子さんと料理人の稲田俊輔さんがロイヤルホストの好きなメニューや好きなところを熱く語る会で、聴いてるだけで食欲が刺激されてしまった。
体が、舌が、ロイヤルホストを求めている…!
すると…
ロイヤルホスト、札幌市内に4店舗しかない問題。
ええ!そんなはずは…と思って詳しく調べたが、市内にたくさんあったロイヤルホストは軒並み閉店していて、現在は宮の森店、麻生店、平岸店、美香保店の4店舗しかなかったのだ。
不況の波恐るべし…!
まだ24時間営業だったころ、ひそかに好きだった先輩と二人で飲み物だけで3時間粘ったロイヤルホストも。
就職したての頃、徹夜明けでボロボロになりながらオニオングラタンスープを飲んだロイヤルホストも。
きついダイエットをしていたけどおいしいものが食べたくて、サラダだけ食べに行ったロイヤルホストも。
わたしがウカウカしている間に全部閉店していた!
あんなに世話になったじゃないか。
わたしがどんなに小汚い身なりをしていても、お金がなくて飲み物だけで粘っていても、あたたかく迎え入れてくれたのに。
何たる不覚。
世間はゴールデンウイーク。コロナ禍ということもあり、予定は白紙。
これはロイヤルホストへの不義理を恥じ、市内にある4店舗をすべて回って、コロナ禍で危機を迎えているであろうロイヤルホストに金を落とそうと考え実行した一人の女の話である。
ロイヤルホスト 美香保店 4/29 11:00
美香保とは、札幌市東区にある美香保公園付近一帯を指す名称であり、正式な地名ではない。
最寄り駅は地下鉄東豊線元町駅だが、駅から徒歩15分ほどかかる。大きな道路沿いにあり、車で来ることを想定した立地だ。
車は持っていないというかそもそも運転に向いていない人間なので、必然的に歩くことになる。元町駅までは地下鉄で行って、そこから徒歩でたどり着いた。
店内に入ると張り紙が。
厨房機器の故障のためメニューに制限ありとのこと。グリル系や揚げ物、パンケーキなどが提供できないらしい。
もともとパスタを食べるつもりだったので問題なかった。
頼んだもの
・国産豚ときのこのポルチーニクリームソースパスタ 税込1,188円
・小さなビーフシチュー 税込858円
・いちごのブリュレパフェ 税込968円
・ドリンクバー 税込363円
値引き -500円(※後述)
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総額 2,877円
頼みすぎただろうか。もともと大食い気味とはいえ、30代の女性が食べる量ではないのではないか。でもできるだけお金を落とすって決めたし、がんばろう。
きた。早速パスタをいただく。
旨みたっぷりきのこの大群を濃厚なポルチーニクリームソースでひとまとめにした逸品。麺が生パスタでもっちもち。何も考えずにガツガツ食べられる。
微妙に残ったソースをなんとか持ち帰れないか5秒くらい考えてしまった。
ビーフシチューはこの小さい容器の中にでかい肉が二切れ、人参とブロッコリーがひとつずつ。
ブラウンソースの苦味と酸味が効いた大人の味。シェフを呼んでちょうだい!と言いたくなるくらい本格的な味がする。
すごく小さくて正直なところ最初は「この大きさでこの値段、高くない?」と思ってしまったが、食べるとそのクオリティの高さに納得してしまった。
いちごのブリュレパフェ。
パフェは見た目が9割だと思っているが、これは見た目も味もパーフェクトだ。
表面を焼いたブリュレが蓋のように覆いかぶさっていて、その下はアイス(塩キャラメルアイスらしい)。その中にザクザクとした食感のピーカンナッツ。
カスタードの甘さと塩キャラメル、ナッツの塩っぽさがマッチして永遠に食べていられる。下の部分は甘酸っぱいいちごシャーベットとソース。上部分がガツンと重めの味なので、その下は爽やかにスルッと食べられる。本当に計算し尽くされたパフェだと思う。
パスタとシチューで満腹だというのに気付いたらなくなっていた。
店内は比較的空いている。
客はちらほらいるが年配の方、それも身なりの良さそうな客が多い。
ファミリー層や若いカップルが居なくて落ち着いている。
店員さんも所作がしっかりしていて無駄な動きがなく、教育が行き届いているように感じる。
厨房機器の故障でメニュー縮小していたのを謝りに店長さんがテーブルをまわって来てくれた。本当にファミレスか?ホテルのレストランじゃないよね?
さらにお会計のとき、機器の故障でご迷惑おかけしました、と500円も引いてくれた。もともとパスタ食べるつもりだったからいいですよ、と遠慮したけど今日ご来店された皆さんにしていますので、とのこと。ヤバ。
お金を落とそうとしているのに値引きされてしまった…。
でも久しぶりのロイヤルホスト、感動した。
腹が限界突破したので少しでも消化するため、10キロ歩いて帰った。
ロイヤルホスト平岸店 5/2 12:00
平岸とは、札幌市豊平区にある地名である。
周辺には大学や専門学校があり、家賃も比較的安めなので若い人に人気の街だ。
飲み屋もたくさんあり、活気がある。
友人が平岸で店をやっているので何度か来たことがあり、賑やかで楽しそうなイメージだったが、若い人の多いこの街でロイヤルホストはやっていけるのだろうか(余計なお世話)…と思ってたら、お昼時だからか比較的混んでいた。
立地のせいか美香保店に比べて店員も客も若い人が多い。
頼んだもの
・ケールサラダ~ピーナッツオイルドレッシング~ 税込638円
・ビーフジャワカレー 税込990円
・ホットファッジサンデー 税込858円
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総額 2,486円
ケールサラダ。なかなかファミレスでは見かけないだろう。ケールは一般向けではない味だし、サラダといえば一般的にはレタスとかキャベツだから。でもここであえてケールを選択するところにロイホがロイホたる所以がある気がしている。
ドレッシングはピーナッツオイルにごま油、お酢と醤油らしい。ごま油の風味がケールの独特の苦味を消し、遠くに感じるお酢の酸っぱさが爽やかさをプラスしている。これはうまい…毎日でも食べたい。
このドレッシングとても気に入ったので家でも再現しようと頑張ったが、なかなか同じ味にはならなかった。
ビーフジャワカレーは、昭和40年代に誕生したロイヤルホストのクラシックメニュー。ロイヤルホストの歴史を語る上では外せない一品。
いわゆるキーマカレーなのだけど、玉ねぎの甘みが強く、お子様でも問題なくペロリと食べてしまうであろう万人向けの味だ。
つけ合わせのマンゴーチャツネとしば漬けが脇を固める。ここで福神漬けとからっきょうが出てきたら興ざめである。CoCo壱行くわ!ってなるところを、さすがのロイヤルホストは外さない。「高級志向のファミリーレストラン」の正解を叩き出している。
さすがにお腹いっぱいになってきて、パフェはどうかなと思ってた。しかもパフェ界の中でもヘビー級の重さであるチョコとバナナをふんだんに使ったホットファッジサンデーだ。
バニラとチョコアイスの上にバナナと生クリームが乗ったオーセンティックなパフェに、あったかいチョコレートをかけていただく。このチョコレートがポイントで、すでに完成しているものに自分でひと手間を加える、という動作が特別感と非日常感があって楽しい。
食べ進めていくとアイスやバナナや生クリームの間に全粒粉ビスケットやナッツが隠れており、サクサクした食感も楽しめ、全く飽きることがない。
ロイヤルホストのパフェは本当に食べ飽きないよう工夫がされているのだ。
またしても、してやられた。いつの間にか全部食べてしまっていた…。
やっぱりロイヤルホストは最強。
ロイヤルホスト宮の森店 5/3 11:00
宮の森とは札幌市中央区にある地名で、比較的高級住宅街とされる地域である。
地下鉄東西線西28丁目駅と二十四軒駅のあいだくらいに位置する。
西28丁目駅で降り、歩くことにした。徒歩5分強くらいだった。
駐車場が広めで、やはり車で来る客を想定しているのだろう。
席に着くと隣のテーブルには70代くらいの男性二人。モーニングを食べに来たらしい。ずっとスナックのママの話をしていて微笑ましい。
頼んだもの
・冷製コンソメジュレ&フラン仕立て~うに・いくら~ 税込638円
・コスモドリア 税込968円
・コーヒーゼリーサンデー 税込638円
・ドリンクバー 税込363円
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総額 2,607円
冷製コンソメジュレ&フラン仕立ては冷たい前菜。ほんのり甘いフランの上にコンソメジュレが乗っていて、その上に更にたっぷりのいくらとウニが敷き詰められている。
これがポンっとテーブルの上に乗っていたら、フレンチの店かな?とは思っても、まさかファミリーレストランだとは思わないだろう。
ひと口たべるとそれは幸せの味。これが580円だなんてちょっと信じられない。
コスモドリアはビーフジャワカレーと並ぶロイヤルホストのクラシックメニュー。チキンとエビ、さらに栗が入っている。この栗ってところがオリジナリティーを発揮している。
甘さとチーズの塩っけがお互いを高め合い、気付いたら皿が空になっていた(また?)。
何度も言うが、食べ飽きない工夫がされているのがロイヤルホストの料理の特徴だ。
コーヒーゼリーサンデー、これがまたすごい。上段はホイップクリームと塩キャラアイス。中断が苦味のきいたコーヒーゼリー。どうやらお店で仕込んでいるらしい。下段はバニラアイス。今回もナッツがふんだんに散りばめられている。
塩キャラメルの塩気、コーヒーゼリーの苦味、アイスの甘み、ナッツのカリカリ。一口目を口に運んでから最後のひと口を食べ終わるまで、まるで短い映画を観ているかのよう。起承転結がハッキリしているのだ。
これはパフェ界のフィフス・エレメントやー!
すみません。適当に言いました。
満足感に包まれてお会計をする。
この日も10キロほど歩いて帰った。えらい。
ロイヤルホスト 麻生店 5/5 11:00
麻生は、札幌市北区にある地名である。麻生駅は地下鉄南北線の終点で、大きめのバスターミナルがあるからか、周辺はわりと栄えている。
駅前に降り立つとすぐにサイゼリヤが見える。ここにロイヤルホストがあったなら…と思うが、出している料理の単価的に厳しいのだろう。
サイゼリヤも大好きでいとおしい店だが、今はロイヤルホストに夢中なわたし。脇目もふらず歩く。
10分ほど歩くとオレンジの看板が見えてきた。時間がお昼前だからか、ほとんど客がいない。静かだし、落ち着いて本でも読みたいときにいい環境だ。
頼んだもの
・食いしんぼうのシェフサラダ 税込968円
・ハムとチキンのクラブハウスサンド 税込968円
・イチゴのヨーグルトジャーマニー 税込858円
・ドリンクバー 税込363円
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総額 3,157円
食いしんぼうのシェフサラダ、安定の味。これもロイヤルホストの看板メニューのひとつだろう。皿の大きさや量から言ってシェアして食べる前提だと思うが、おいしいのでひとりでパクパク食べてしまう。アボカド、エビ、唐揚げ、ポテト、ベーコン。好きなものしかない。大人のお子様ランチサラダバージョンといったところだろうか。
感動したのは、一つだけ乗せてある唐揚げだ。
ロイヤルホストの他の唐揚げを食べたことがないので検証の必要ありだが、やたら衣がカリカリしている。これは、ドレッシングがかかってもフニャフニャにならないようにという配慮ではないだろうか。
これぞロイヤルホストが掲げるホスピタリティの真髄だ。
クラブハウスサンド。学生の頃からメニューにあってずっと食べてみたかったのだけど、ようやく願いがかなった。分厚いハムとチキンの弾力、シャキシャキレタス、カリカリのトースト。これは食感のデパートだ…。
ひと口食べただけでハッキリと伝わる高級感。サンドイッチ界のエリートだ。
食いしん坊のシェフサラダがかなりのボリュームだったので、パフェを頼むのは迷っていた。でも、ここで退いたら女がすたる。5月に入り春のイチゴフェア終了も目前だと考え、ここは限定メニューのイチゴのヨーグルトジャーマニーをオーダーしたが、これが大正解。
ヨーグルトを抑えめに、イチゴを前面に出してくるスタイル。イチゴの果実、イチゴのシャーベット、イチゴソースと三段構えだ。
ヨーグルトパフェはさっぱりしているイメージだが、イチゴ果肉とシャーベットの酸味が爽やかさに拍車をかけている。まるで涼しい風が吹く晴れた日に大草原に寝転がっているよう。
もたれた胃をそっとなでつけて労わってくれる癒しのパフェだった。
いつも通り、歩いて帰る。
ここ数日で明らかに距離を歩けるようになった。これもロイヤルホストのおかげ。
ロイヤルホストマラソンもこれで終了。4店舗すべて回ることができた。
実感したのは、料理のクオリティの高さだ。
美味しく食べられるちょっとした気遣いや配慮。
食べ始めて、最後の一口を食べ終わるまで、すべて計算しつくされているといっても過言ではない。
その分単価が高いので、この不況下では確かに商売としては厳しいのかもしれない。
ただ、一生懸命働いて毎月一度の給料日になにか美味しいものを食べたいとき。
休みの日、何も予定はないけれど落ち着いた空間で食事をして、ついでに読書をしたいとき。
子育てや仕事に追われて時間は取れないけれど、豊かな気持ちになりたいとき。
ロイヤルホストはそんな人の気持ちに寄り添ってくれるだろう。
わたしはこれからもロイヤルホストを応援します。